歯肉退縮(はぐきやせ,はぐきさがり)の治療例:はぐきさがりは治せます

治療前

治療後

60代女性です。歯科医師からの紹介で来院されました。歯茎が下がっていることを長年気にされていて,治療を希望して来院されました。

知人の歯科医師の勧めで当院に来院されたとのことでした。

術前の状態では歯の根っこの先まではぐきが下がってしまっていて,いまにも抜けそうな見た目になっています。一般的に,表側の歯茎が下がっているだけなら即座に抜けてしまうわけではありませんが,歯がしみてしまったり,見栄えが悪かったりしますので,できれば改善した方がいい状態です。

CTを撮影してみると,歯を支えるはずの骨が表側には全然ありませんでした。根っこの先までなくなっています。

下顎の骨が元々薄いうえに,歯列矯正の既往もあったためと考えられました。矯正治療は歯並びを治すために有効な治療法ですが,術前に骨や歯茎の状態をしっかり診査した上で対策を取らないと,歯肉退縮(はぐきの痩せ,はぐきさがり)の要因となってしまうことがあります。

患者さんと相談したうえで,結合組織移植術(歯ぐきの移植手術)によって改善することとなりました。

浸潤麻酔(通常の歯科治療時に用いる部分麻酔)を行なったのちに,歯肉に切開を加えていきます。繊細な手術なのでディスポーザブルの先端の小さなメスを用います。このケースではフェザー社のNo.390のメスを使用しました。

トンネリング用の骨膜剥離子を用いて周囲歯肉を剥離します。

上顎口蓋から採取した歯肉組織です。上皮部分は口腔外で除去しています。必要十分なサイズの歯肉組織を採取するには技術も大切です。
Laterally Closed Tunnelというテクニックで治療を行いました。
治療の時間は60~90分です。

脛都合組織移植による根面被覆治療は結果が約束されたものではなく,思ったほど歯ぐきで根っこを覆うことができない場合があります。小さな手術になりますので,術後に出血や腫れなどがありますが一過性です。

歯肉退縮の治療費は165,000~330,000円です。(エムドゲインやリグロスなどのバイオマテリアル費用は別途33,000~55,000円かかります。)

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