低刺激,低侵襲の抜歯即時インプラントとは?!

神奈川県の茅ヶ崎駅前奈良デンタルクリニック,院長の奈良です。今日はインプラント治療について書いてみたいと思います。

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『歯が折れた!』といって来院される患者さんがしばしばいらっしゃいます。

この患者さんは右上の前から3番目の歯が根元からボキッっと折れてしまっていました。

もともと神経のない歯だったので,幸い痛みはないようでした。

折れた位置が歯茎よりも出ている部分のみであれば,通常の歯科治療で治すことが可能です。

この歯のように歯茎の中で折れてしまっている場合には①矯正治療で引っ張り出す(矯正的挺出)②いったん抜いて,差し戻す(意図的再植術)③歯の実質が出てくる位置まで歯茎を切開,縫合する(歯肉弁根尖側移動術)④抜歯 などの処置から,最適なものを選ぶ必要があります。

患者さんは無理に歯を残すよりも,より長持ちが見込める治療をご希望でしたので,④抜歯→インプラント治療を行うこととなりました。

(ちなみに,縦方向に歯根破折が起きている場合には抜歯せざるを得ないことが多いです😢)

インプラント治療では,通常はまず残せない歯の抜歯をし,それから歯茎が治るのを2〜6ヶ月待って,インプラントを埋入します。そしてそこからまた3〜6ヶ月治癒を待ち,次の処置や型取りに進みます。この手順ですと,治療期間が半年から1年かかってしまうのと,治療期間中の仮の歯をしっかりつけることができない場合あります。特に前歯のインプラント治療を行う際に,仮の歯が無かったりすぐ取れてしまったりしては困りますよね💦

そこで,近年私が行なっているのは Immediate Implant Placement and Provisionalization (IIPP) という術式です。これは昨年末に来日,講演されたロマリンダ大学のProf.Kan(講演の様子はこちら)が得意とするインプラント治療の術式で,日本語に訳すと『抜歯即時インプラント埋入・即時プロビジョナルレストレーション(=仮歯)』となります。つまり抜歯と同時にインプラントを埋入し,そこに仮の歯まで当日のうちにつけてしまう,という治療法です。

この術式はすべての外科術式を1回で行うために,患者の身体的な負担の少ない治療法であると言えます。またこの術式はフラップレス手術と言って,歯ぐきを切開し,めくりあげることをしません。Kan先生の論文『Immediate implant placement and provisionalization of maxillary anterior single implants』によるとフラップレスのメリットとして・手術手順の簡略化・手術時間の短縮・患者の不快感の軽減などが挙げられる,としています。つまり,患者の負担の少ない低刺激,低侵襲のインプラント治療と言えるのです。ただし,仮の歯までつけてしまうことでインプラントに余分な力がかかり,インプラントが生着しない危険性があるという点はデメリットですし,術者のテクニックと経験により結果が左右されやすい治療法でもあります。

患者さんは抜歯即時インプラント埋入・即時プロビジョナルレストレーション(IIPP)による治療法を選択されました。部分麻酔をしたのちにまずは埋もれている歯根を抜きます。

次に,歯が抜けた穴にドリルして,インプラントを埋入します。今回はStraumann社製SLActiveという表面性状のインプラントを用いました。この表面性状は,骨との結合スピードに優れていて,埋入から4週間という短期間で型取りまで行える場合もあります。

インプラントが挿入されたら,その上に仮歯用の土台のパーツを取り付けます。

あらかじめ作っておいた仮歯を,予定通りの場所に位置付けし,お口の中で先ほどのパーツと接着させます。

パーツと一体になった仮歯です。形態を調整しておきます。

つぎに,結合組織移植という,歯茎の移植を同時に行います。天然の歯を抜くと通常,どうしても唇側の骨や歯茎は薄くなったり無くなったりします。そうするとせっかくインプラントを入れてセラミックの歯を入れても,隣の歯よりも長い見た目の歯になってしまうことがあります。そうなることを防ぐために歯茎の厚みを人工的に作るのです。患者さん自身の上顎から採取した歯茎をインプラントの唇側に入れ込みます。

そして調整の終わった仮歯を装着します。これが抜歯即時埋入・即時プロビジョナル= Immediate Implant Placement and Provisionalization (IIPP) です。

術後,痛みや不快症状はなかったようです。治療した部位で食べ物を噛まないようにだけは注意してもらいました。

5週間後の状態です。見た目にはほとんど治っていました。仮の歯もていねいにつくれば充分きれいだと思います。

術後8週です。

歯茎の中も問題なく治癒しているようでしたので,このあと型取りに進みました。

 

前歯のインプラントや,審美的な要求の高い患者さんの場合,カスタムインプレッションコーピングという方法で型取りをします。これは仮の歯の形態を模倣して,そのままの歯茎の形を型取ろうとする方法です。ひと手間かかりますが,せっかく仮の歯で良い歯茎の形を作り上げているので,より良い歯を提供するために大切な治療の一過程です。

そうして,最終的なセラミックの歯が装着されました。インプラント埋入の日から,1日も歯が無い状況はないままに治療を終えることができました。患者さんにはきれいに治ったと大変喜んでいただきました。担当医としても予定通りに治療を終えられてほっとしました。

抜歯即時インプラント埋入は適応症があります。すべての患者さんに提供できるものではありませんが,患者さんの身体への侵襲の低さ,痛みの軽減,治療期間の短縮,審美性の確保などにおいて,有利な治療法であると言えます。

(インプラント治療は保険外診療です。インプラント埋入は230,000円,即時プロビジョナルレストレーションは30,000〜100,000円)

そのほか,インプラントに限らず歯を残すために様々な治療法を当院ではご提案できます。

歯周病治療,インプラント治療,その他歯の保存でお悩みの方は茅ヶ崎駅南口徒歩1分の,茅ヶ崎駅前奈良デンタルクリニックまでお問い合わせください。

Tel: 0467-50-0982