歯科専門誌に歯ぐき下がりの治療例が掲載されました。
こんにちは。茅ヶ崎駅前奈良デンタルクリニックの奈良です。
先日,歯科医師向けの専門誌,ザ・クインテッセンスの巻頭にて私が行った治療例が掲載されました。
歯科医師向けの専門誌というのは,患者さんたちが目にすることはほとんど無いと思いますが,実は月刊誌だけでも複数刊行されています。ザ・クインテッセンスの他にも有名どころとしては歯界展望,デンタルダイヤモンド,日本歯科評論などなど。クインテッセンスは掲載写真の美しさ,症例のレベルの高さなどで定評があります。
歯科界を牽引する先生たちとともに自分の症例が掲載されたことは大変光栄です。
さて,掲載された症例について少し紹介させていただきます。
歯ぐきがやせた,下がった(もしくは上の歯の場合は「歯ぐきが上がった」と表現する患者さんもいます)ということを訴えて来院された患者さんです。歯ぐきが下がった状態のことを専門的には「歯肉退縮」と言います。
歯肉退縮には,原因がいくつか考えられます。
①歯周病によって歯を支えている骨や歯ぐきが減少してしまった結果として
②固すぎる歯ブラシの使用,圧の強すぎる歯みがき(オーバーブラッシングと言います)
③歯を支えている骨や歯ぐきがもともと薄い場合
④歯科矯正治療を行った場合
などが考えられます。
この患者さんは,④矯正治療を以前に受けたことがあり,その結果として下の前歯の歯肉退縮が生じたとのことでした。
矯正治療を受けると必ず歯肉退縮を起こす,というわけではありません。しかしながら矯正治療が歯肉退縮のリスクになる可能性については歯周病学の権威であるCortellini先生とBissada先生が近年まとめた論文のなかでも言われています。矯正による歯の移動の方向によっては歯肉退縮が起こりやすい場合があるため注意が必要です。矯正前にそのようなことが予測される場合には,事前に歯ぐきの厚みを増やす治療を歯周形成外科の得意な歯科医師のもとで受ける必要があるかもしれません。
原因はさておき,この患者さんにおいては歯肉退縮を改善する治療を行いました。
下がった歯ぐきを治療する,改善することを「根面被覆」と言います。根面被覆の術式は色々とあります。
今回のケースでは,歯肉退縮の大きさやその他周囲の状況を考慮し,Laterally Closed Tunnelという術式を選択しました。
患者さんご自身の上あごの歯ぐきを一部採取し,それを退縮部に挿入します。
歯ぐきの一部を移植する手術なので,結合組織移植術(=Connective Tissue Graft)と表現することもあります。
治療後の状態です。下がっていた歯ぐきは,両隣の歯ぐきと同じ高さにまで回復していることがわかります。患者さんには大変喜んでいただきました。
その後も歯磨きの仕方などには注意が必要ですので,正しい磨き方をしっかりお伝えして,治療終了,定期メインテナンスへ移行しました。
この治療はマイクロスコープという手術用顕微鏡を用いて行いました。手術は動画で記録されます。ザ・クインテッセンスではその動画がスマートフォンで見られるようになっています。ご興味のある方は,待合室で是非ご覧になってみてください。
また,その他にも根面被覆の治療例がありますので,ご興味があればこちらをご参照ください。
(根面被覆術は保険適用外の診療になります,)
歯肉退縮(歯ぐきさがり,もしくは歯ぐきがあがったという方)でお悩みの方は茅ヶ崎駅前奈良デンタルクリニックまでお問い合わせください。
茅ヶ崎市の方以外にも,藤沢市,平塚市,横浜市,寒川町など,周辺の市町村の方が多く来院されています。最近は東京や静岡などやや遠方に在住の方にも,治療回数を少なくできるよう考慮して治療計画を立案し,通院していただいています。
<日本歯周病学会認定歯周病専門医,茅ヶ崎駅南口徒歩1分の歯医者,茅ヶ崎駅前奈良デンタルクリニック>
Tel: 0467-50-0982
駐車場3台分,駐輪スペースあります。