EuroPerio11に参加してきました!

院長の奈良です。
今回は5月14〜17日にウィーンで開催されたEFP主催のEuroperio11に参加してきました。

EFPとは、European Federation of Periodontology(ヨーロッパ歯周病学会連合)の略で、歯周病に関する研究や治療の発展を目的とした、ヨーロッパ中心の国際的な学会です。
世界中の歯科医師・研究者が参加していて、歯周病の予防、治療、最新研究、ガイドラインの作成などを行っています。

EuroPerioは、EFPが主催する歯周病とインプラントに関する世界最大級の国際会議です。およそ3年に1度開かれていて、最新の研究成果や治療法が紹介される、世界中の歯科関係者が注目するイベントです。日本からも歯科医師が参加し、最新の知見を学んで、日々の診療に役立てています。

「学会とか会議って、学術的な話でしょ?」と思われるかもしれません。でも、実はこうした国際的な情報は、みなさんの治療や予防にもつながっています。

たとえば、

  • 歯周病が心臓病や糖尿病に影響すること
  • 正しい歯磨きの方法や予防ケア
  • インプラント治療の安全性と進歩 など

これらはすべて、EFPやEuroPerioで議論され、日々の診療に活かされております。

今回私は歯周再生治療や歯ぐきの再生治療、インプラント治療のセッションを中心に聴講してきました。世界のトップの先生たちの先進的で刺激的な講演が多く、大変勉強になりました。

ひとつ、とても思い出深い出来事がありました。それは友人でもある、アスラン先生の講演です。

アスラン先生は歯周病治療で高名な先生で、歯間乳頭(歯と歯の間の歯ぐき)を温存したまま歯周組織再生療法を行う手術法の一つを考案した先生です。
歯間乳頭はとても繊細な部分で、失われると歯と歯の間が大きく隙間になり、食べ物が詰まりやすくなったり、隙間の見た目が気になることが多いです。しかし、この歯間乳頭は一度失われると再生することは大変困難で、完全な回復は見込めないと世界的にも言われてきていました。
通常、歯周組織再生療法では歯周病で溶けてしまった歯槽骨にアプローチをするためではあるものの、手術の際に副次的に歯間乳頭部にダメージを負わせることになり、術後は歯周ポケットは治癒しても、歯間乳頭は下がってしまうことが課題となっていました。

この歯間乳頭を温存したまま再生療法を行い良好な結果を得た症例を、私はアスラン先生と一緒に英語論文を作成し、International Journal of Periodontics & Restorative Dentistryという国際紙に掲載されました。

今回、アスラン先生は講演のなかでこの論文と、私が行った手術の写真を壇上で発表してくださいました。とても光栄で、嬉しく思いました。また、良好な結果を得られた例を歯科医師同士で共有することで歯科医療の発展に貢献できることに喜びを感じました。

学会のあとはヨーロッパの文化にも触れられ、世界中の先生や研究者の方とも交流でき、楽しいひとときでした。
なんと、歯周組織再生療法で活躍する、エムドゲイン(Emdogain ®️)という再生材料を開発した研究者の方ともお話ができました。

また、ウィーン国立歌劇場で本場のオペラも味わいました。
美味しいご飯や歴史ある街並みも仲間の先生と一緒に楽しみました。

今回学会で学んだことをこれからの診療にも還元し、より良い医療を患者様に提供できるよう、日々邁進したいと思います。